2011年4月19日火曜日

発掘した!

あんまりにも、あれ、本館の更新率が低すぎるので……。



どこにも設定さらしてはいませんし、これは半ばネタバレにも近いです。



『ST』と、あと『メモリア』というお話の組み合わせです。



本編のネタバレいやあああああダメ絶対、というかたはバックバック!



ほんとこういうのしか載せられる話がないんですよ……。









ST本編にちらちらでていた『シュルツ』『ルースナー』にばっちり触れています。そういうネタバレですではいきます!



注意はしたからね!? 閲覧した後のことは自己責任でお願いします。












「料理=除草剤ってある意味便利?」



「……クセェ」
「あら、ステントラったら言葉遣い汚いですよ?」


 そう言って、可愛らしい花柄のミトンを両手にはめ、長い橙色の髪をバンダナの下に隠しているルースナーは首をかしげる。だがしかし、そんな愛らしい仕草にも、ステントラは毛ほどもほだされはしなかった。


「なあ、格好からして、お前料理してたんだよな?」
「むう、当然じゃないですかー。どこからどうみても完璧なお料理ルックでしょう!」
「テメェが作ってんのは料理じゃなくて劇薬だバカヤローッッッ!!!」


 手に持っていた掃除用のはたきで、すっぱんと気持ちいい音を立てながらステントラはルースナーの頭を叩く。


「爆薬の、火山の! 腐ったタマゴの匂いがそこかしこからしてんだよっ!!! ていうかそこのミトンにくっついてる緑色でぶつぶつのスライムはなんでせうかっ!?」
「あ、くっついちゃってましたか。ふふふ、さっきオーブンに入れたパイのクリームですよ」
「ぎゃああああああ劇薬を火にかけちゃらめぇええええええっっっ!!!」
「……手遅れだ、ステン」


 振り返れば、ステントラと同じようにこの屋敷の掃除を、《時の司》としての異能を使いながらてきぱきこなしていたシュルツが、疲れ切った様子で佇んでいた。


「なまじ、わかる……象徴が《風》だとな……こう……大体オーブンの中でどんなスペクタクルな大実験が行なわれているかが、詳細に伝わって」
「簡単に言うと?」
「大爆発三秒前」
「ちょっ!?」


 白い肌をよりいっそう白くさせたステントラは、転移ですべての厄災から逃れようと決断する。だが、彼の異能は別の異能によってキャンセルさせられた。いつの間にか目の前にまで詰め寄ってきていた、綺麗な顔の同僚を、彼は愕然と見返す。


「しゅしゅしゅしゅシュルツぅうううっ!?」
「お前だけ逃げられると思うなよ……っ!」
「あらあら、やっぱり二人は仲良しですねー」


 ルースナーが言った、直後。
 屋敷の屋根が吹っ飛んだ。



※ ※ ※



 後日、一面焦土となってしまった元・屋敷跡地を見に来たシャム神は、穏やかな青年の顔にこれ以上ない哀しみを滲ませて、その場に正座している薄汚れた三人の守護者を見下ろした。


「……ねえ、僕帰っていい?」
「ゴメンマジすいません再生手伝ってください」


 正座から土下座へ移行するのに一番スムーズだったのは、結局お人好しな、この場において誰よりも関係ないといえる漆黒の男であった。











(懐かしい…………ルースナーの料理で、耐性、ついたと思ってたんだけどなぁ)


 すすで汚れた頬を膨らませながら正座して、これ以上ない剣幕で怒り続けるガイルを見上げているティルーナの図を見て、無事だった酒瓶や銃器のつまった箱を抱えていたステントラは、小さく溜息をついた。
 彼らの家があった場所は、家こそあったものの、やっぱり周りの草花が一様に全滅していたのであった。


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